レンズを通して見たFC町田ゼルビアのこと


by abikozelvia

遅れてきたラッキーボーイ

第21節(後期第4節) FC町田ゼルビア 3-0 HondaFC

どこかのブログに「勝ったときは更新が早い」などという記述があったように思いますが、わかりますね、気を遣わず素直に書けますから(笑い)。

快勝です。夢(希望)としては思い描いていたものの、Jの門番にしてJリーグ以上と言われるHondaFC相手に、こんな完璧な勝利を勝ち得るとは。正直、試合前に「本音の予想は」と問われれば、もう少し僅差の回答をしていたことは間違いないでしょう。

点差以上に、内容が圧倒的でした。立ち上がりこそ互角かなと思えたのですが、数分で(たぶん)柳崎祥兵選手が口火を切るシュート。「出だしにシュートを打った試合はよい」というジンクスが、そのまま表れる展開となりました。その後はゼルビアが圧倒的な攻撃。たまに攻め込まれるものの、7割8割はHondaFC陣内で攻撃が持続します。先制点は蒲原達也選手が左から持ち込んでセンターへ。これを山腰泰博選手がしっかり合わせて、相手GKも手の出しようがありませんでした。前半1-0で折り返すと、後半も猛攻を続けますが、75分頃からHondaFCが前がかりになってきます。唯一危なかったのがこのときで、ゴール正面、左からクロスにシュートを打たれて修行智仁選手反応するも手が届かず・・・ボールは枠をそれて、助かりました。80分には再び蒲原達也選手から山腰泰博選手へ渡って2-0。さらにロスタイムには、強引なHondaFCの裏をとって飯塚亮選手がとどめの3点目。前期の立ち上がり、4連敗したときにゼルビアがやられていたことを、裏返しにしたようなラストでした。といっても、JFL新参で勝又慶典選手を欠いてばたばたしていたゼルビアと、JFLの古参にして強豪、あのHondaFCがまさかこんな敗戦を喫するとは、同じような終わり方でも、内容の評価には大差があるでしょう。

と、ほめたところで点数をつければ、辛く言って80点。甘く言って85点でしょうか。こんな完璧な試合で100点じゃないの? いやいや、問題はまだまだあります。まず、前半1-0でしたが、悪くても2-0、無理なく3-0。100点がほしければ4-0くらいでも良いような、決定的場面が3~4回はありました。GKが反応できないような条件を作りながら、枠へ飛ばずに1点のみでしたから、100点はつけられません。終盤HondaFCが前がかりになってきましたけれど、前半で3-0にしておけば、それすら許さなかったでしょう。それが可能なくらい、決定的な場面はあったと言うことです。

そして次の問題点は、相変わらずカードが多いこと。カードを1枚もらうと言うことは、2枚もらうまでにリーチがかかると言うことで、10人になってしまったら、3-0がどう変わったか、考えたくもありません。厳しいことに柳崎祥兵選手、酒井良選手がカードをもらい、次節は累積で出場停止になると思われます。(2度目の累積なので2試合の停止かと思われる)中川勇人選手とともに主力を欠いて、不安材料を残してしまいました。HondaFCの作成した資料によると(全選手の出場状況など細かい資料を配付してくれており、さすがHondaFCでした。このあたりはゼルビアとは大差があります)、フェアプレーポイント(カードや退場の数などできまり、少ないほど良い)でゼルビアは20節終了時点まででワースト2位です。17位と言うことです。ワーストダントツ1位はFC琉球(74P)ですが、ゼルビアもそれに続いて(58P)おり、フェアプレーポイントが80に達すると罰金20万円をJFLに徴収されるのですが、このままゆけばかなりの確率で罰金ラインに到達しそうです。110Pになると40万円の罰金です。もちろんお金だけのことではなく、「でれない」のですから試合結果にも響いてくるわけで、厳しいことになります。

この二つのことを考えれば、やはり80点か85点かしかつけられず、100点にはまだまだ届きません。

個別のプレーでは印象に残る場面がいくつもありました。後半の80分頃でしょうか、HondaFCがどどっと攻めてきて、ゼルビアが相手最終ラインの後ろに蹴り出して、時間とスペースを回復させる場面があったのですが、無人のピッチに転がるボールを、HondaFCの選手とともに猛然と追いかけてゆくゼルビアの選手がいました。最初は誰だかわかりませんでしたが、望遠で見ると、なんと石堂和人選手でした。こんな献身的な走りをする選手だったのか? 見たことがあったか、無かったか。まあ、ここ数年はリーグではダントツで、追い込まれる場面もなかったのでで、記憶に無かっただけかもしれませんが、驚きましたし、うれしくもありました。自分勝手で強かった石堂和人選手が、優しくなって弱くなりました。しかし、強さが戻ってくると同時に、優しさが強さとなって加われば、これはすごい選手になりますね。Jリーグにいっても間違いなく活躍できる選手になるでしょう。石堂和人選手に強さはあるのか、怖さはあるのか。そして加えて、優しさが強さとなって献身的プレーとして表れてくるのか。今後ゼルビアの試合を見るときには、大きな注目点となるはずです。

もしもあなたがゼルビアを語ろうと思うなら、これを見逃しては語れませんよ。

もう一つ、印象に残ったのは津田和樹選手の突破力です。後半の20分くらいまで、バックスタンド側中央で撮影していたのですが、目の前を津田和樹選手が、2度、3度と突破してゆきました。その走りのスピードには驚きました。

こんなに早かった?

もう津田和樹選手を見て5年くらいになりますが、ここまでの早さは初めて見たような気がします。実は、前節のガイナーレ鳥取でも津田和樹選手の走りは違ってきて、書こうかなと思っていて、割愛してしまったのですが、今回は目の前だっただけに印象的でした。本人に聞いてみたところ、「あそこで走ることで見方を休ませることができるから、今までの相手(関東リーグ等)はそんなに強くなかったので、ゆっくり味方があがってくるのを待っていても良かったが、(JFLは強いので)走ることで味方を休ませている」とのことでした。なるほどと思いましたが、そのためか、突破した後では、最後の場面でやや息切れしているような様子も感じられました。その辺は「今までやってこなかったから」体力不足なのでしょう。突破した後、最後にもう一仕事できれば、Jリーグばりばり級、すごい戦力といえるでしょう。単なる走りではなく、津田和樹選手がどれくらいのスピードで走り、その後でどんな仕事をしているのか。これも今後のゼルビア観戦の中では、注視して観察し、語るべき大きなポイントと思います。

キックでは、大前博行選手から、右から左へ低いロングボールが出て、蒲原達也選手が食らいついてゆく場面がありしまた。蒲原達也選手もよく追いついたなと思う鋭いキックでしたが、大前博行選手のああいうキックは初めて見たように思います。大前博行選手がスタメンで登場して4試合、4連勝です。まさに、遅れてきたラッキーボーイ、28歳のチャレンジャーですが、1試合ごとにひとつずつ、進化しているようです。当てて出せば良いところをキープにいったり、まだ周りからアドバイスを受ける場面も多いようですが、大きな潤滑油となって貢献しています。1試合で一つ成長できるなら、彼もまたシーズン終了後にはJリーグで戦える選手となっているかもしれません。

その逆の場面で、石堂和人選手から交代で投入された金東秀選手へ、左から右のキックが2度出たのですが、まるで合いませんでした。蒲原達也選手でしたらあそこに走っていると思いますが、金東秀選手とのコンビネーションはずれていました。金東秀選手は山腰泰博選手に代わり投入されており、守備的な貢献の方を求められていたと思いますので、サイドに走るより中を固めにいっていたのかもしれません。2度外しましたが、これは石堂和人選手も金東秀選手も、それぞれには悪くないように思います。ただ、考えていることがずれていただけで、状況によってどう判断するのか、次第に改善される事柄でしょう。

最後に感じられたのは、「左サイドが機能し始めた」ことです。津田和樹、石堂和人、蒲原達也、柳崎祥兵、連動した一体としての動きが感じられ、足し算からかけ算に変化してきています。主力を欠いて苦しい次節MIOびわこ草津戦ですが、どんな算術が展開されるのか、観戦ではなく観察してみたい試合となるでしょう。

楽しみです。

この日の観客動員は650人くらいだったと思われますが、少なくても300人、ひょっとすると350人は、ゼルビアサイドでした。試合内容ともに、観客動員でもアウェイであることを考えれば圧勝でした。しかし、大切なのはホームです。ゼルビアがJリーグに昇格するためには、順位とともに観客動員平均3千人という縛りもあります。平均3千に達するには、残りのホームゲームで平均4,500人が必要です。実は前節の3,800人ではまだ足りず、ゼルビア新記録ではありましたが、観客動員の累積赤字は加算されてしまいました。チームは勝ち始めました。次は、市民が立ち上がらねば、Jリーグはやってこないのです。
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by abikozelvia | 2009-07-27 11:35